登山サークル 大杉谷・大台ヶ原 山行写真集

 59-10日の2日間、三重県の大杉谷から大台ヶ原へ、1泊2日の山行を実施しました。

大杉谷は吉野熊野国立公園にある渓谷で、日本有数の多雨地帯にあり、手付かずの原生林や荘厳な岩峰と美しい滝が織りなす
渓谷美で知られています。
また国の天然保護区域の指定を受けるとともに、黒部峡谷(富山)、清津渓谷(新潟)と並んで日本三大渓谷の
1つに数えられています。
ただコース中には危険地帯も多く、死亡事故もしばしば発生しています。

2004年の台風21号では登山道が破壊され、長く通行不能となっていましたが、昨年5月に全コースの復旧作業が完了。
吊橋の架け替えや崩壊地の整備、危険ヶ所への鎖の設置、安全情報の充実などが施されての全線開通となりました。
とは言っても危険が無くなった訳ではなく初心者向けのコースになった訳でもありません。

リーダーの吉野さんによれば、山小屋に予約の電話をした際にメンバーの年齢を確認され、安全のために大杉谷から
大台ヶ原に向かう「登りコース」に変更するようアドバイスされたそうです。
そんな難コースであっただけに、参加者11名全員が事故も無く
しかも計画通りの時間に帰着できたことは喜びであるとともに、登山サークルとしての自信にもなりました。


このアルバムはそんな思いや登山の楽しさを伝えられたらと作成したものです。

「三瀬谷駅」 

登山の起点となるのがJR紀勢線の三瀬谷(無人)駅です。

バス乗り場までの道が分からずタクシーの運転手さんに尋ねたら、「線路を横切って柵を乗り越えたら
良いよ。」と
教えられました。線路を歩くなんて子供の時以来です。

もちろんそんな事はしませんが・・・。

「道の駅 奥伊勢おおだい」

ここから大杉渓谷登山バスが発車する。

「バスの窓から」

窓の景色が少しずつ登山気分を高めてくれます。

「登山口にて」

バスを降り、支度を整えて出発です。宮川第三発電所の横が登山路の入り口です。

「登山開始」

いきなり難路を思わせる岩が・・・ 

鎖につかまって歩きます。下は数十メートルの谷底。落ちたら命の保証はありません。

ここは大日嵓(くら)と呼ばれる岩場です。

「嵓」とは切り立った崖をあらわす言葉だそうで、大台ヶ原にある大蛇嵓(だいじゃぐら)は有名です。

「新緑を歩く」

しばらく行くと岩場は終わり、新緑のきれいな登山道へと変わります。

写真の吊橋はコース中3番目の地獄谷吊橋。

「京良谷出合(きょうらたに・であい)

出発から1時間ほど歩いたところで小休止しました。

ここは京良谷出合と呼ばれる場所で、対岸から京良谷が流れ込んでいることからその名がついています。

また前を流れるのは一級河川の宮川で、水質の良さで知られています。

伊勢神宮の式年遷宮では「お白石持ち行事」と言って宮川の河原の白い石が集められ、新しい正殿の周りに

敷き詰められるそうです。

「あらためて隊列を整えて出発」

先頭は登山クラブのサブリーダー山田さん。最後尾はリーダーの吉野さんが勤めます。

先頭はルート・ファインディング(登山路の確認)を行うとともに、体力の弱い方に合せて歩行ペースを作ります。

またリーダーは最後尾から全体を統括します。

「日浦杉吊橋にて」

谷も少しずつ深くなってゆきます。

「岩場の急登が始まる」

岩壁に鎖が取り付けられていますが、濡れた岩で足を滑らせる危険性も。

この辺りから、少し雨が降り出しました。

千尋(せんぴろ)

歩くこと約2時間。高度を上げてゆくと最初の滝、「千尋滝」が見えてきました。

落差は135m。まさに天から降ってくるようです。下の方は木々に隠れて見えません。

左下の写真は宮川に流れ込む千尋滝の最下部。川の水がとても奇麗です。

シシ淵

シシ淵は「猪淵・猪ヶ淵」あるいは「獅子淵」と書くようです。

猟師が猪を追って見つけたので「猪淵」、あるいはあまりに素晴らしい景色なので「獅子淵」と呼んだのでしょうか?

渓谷美のすばらしい場所でしたが、雨も降っており川原には降りませんでした。

両岸から迫る岩壁の向こうに、次のニコニコ滝が見えます。

「平等嵓吊橋」

天を見上げるような大きな一枚岩(平等嵓)と、その前を横切る吊橋。平等嵓は大きすぎて1枚の写真に収めることができません。

平等嵓吊橋は20049月の台風21号で破壊されましたが2億円をかけて架け替えられ、昨年4月に開通したものです。

この台風による大杉谷の被害は2日目に通る光滝周辺の大崩落や堂倉滝吊橋にも及んだそうで、完全復旧には10年の歳月を要したことになります。

「今日、最後の吊橋」

「桃の木山の家」の前に今日7番目の吊橋があります。これを渡れば到着です。

「もう少しで到着」

1日目の目的地、「桃の木山の家」が見えてきました。もう少しで到着です。

無事に1日目を終えることが出来そうです。

2日目

朝3時頃、空を見ると月が輝いて星も見えます。天気予報では10日は雨でしたが、観天望気では晴れの予感。

4時頃になると少しずつ起きる人が増え、その物音で目覚める人も。

外へ出てみると谷の合間からと青い空が見えていました。どうやら天気は回復したようです。

5時半からの朝食を済ませて出発準備・荷物のパッキングを行いました。

「シシ淵の川原に沿って歩く」

岩に階段が刻まれ、歩きやすくなっていました。

「七ツ釜滝への道」

昨日とはちがって今日は晴天です。谷にも朝日が差し込み始めています。

七ツ釜滝

七ツ釜滝は「日本の滝百選」に選ばれた名瀑です。

落差は約80mあるそうですが数段に分かれており、見えるのは下の3段です。

国土地理院の地図では滝の印 |が4つ描かれていますが、「七ツ」としたのは美称かも知れません。

展望所もあり、ゆっくりと楽しみました。

「七ツ釜吊橋を渡り河原へ」

七ツ釜滝から高度感のある道を登ると七ツ釜吊橋が現れます。

吊橋を渡った後、コースは河原へ降りて行きました。

七ッ釜吊り橋

「高巻き」

河原から先は登りになり、光滝の滝口の上を通過します。

直接登れない滝の脇を登る事を登山では「高巻く」と言います。

「正しい登山の仕方」

登山には3点確保という言葉があります。両手両足の4点で身体を安定させ、そのうちの1ヵ所ずつを移動させることで転倒や滑落を防ぎます。

(モデル:山田さん、児玉さん)

吊橋の影に隠れた 隠れ滝

落差は25m。吊橋の名は隠れ滝吊橋です。

与八郎滝

対岸に与八郎滝が見えます。今朝、桃の木山の家を出発してから2.5㎞歩きました。

「急登始まる」

ここから日出ヶ岳の山頂(1695m)までの4.4㎞は、ずっと登りが続きます。

中でも堂倉小屋・粟谷小屋のある林道までの1.5㎞は、急登で知られています。

「粟谷小屋にて昼食休憩」

堂倉滝から急坂を登ること1時間15分。粟谷小屋に到着。

ここで昼食休憩。弁当は桃の木山の家特性の中華ちまき弁当。

桃の木山の家 全景

「山小屋の朝」

6時半、朝日が橋脚や山小屋を照らし始めました。私達も出発です。小屋前で記念の集合写真を撮りました。

日出ヶ岳山頂にて記念写真。おつかれさまでした。

登山は私達に多くのものを与えてくれます。

頑張って山頂にたどり着いた時の感動や地上では決して得られない展望。

風に揺れる樹木の若葉や流れる水の美しさ、小鳥のさえずり。

仲間と助け合って登る連帯感などなど。